2022年6月15日、こども基本法が制定されました。
こども基本法の目的は、「日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、・・・全てのこどもが、・・・その権利の擁護が図られ・・・るよう、こども施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及びこども施策の基本となる事項を定める・・・等により、こども施策を総合的に推進すること」(第1条)です。
子ども基本法は、子どもに、憲法が国民に保障する基本的人権や子どもの権利条約に書かれた権利があることを前提に、国や地方公共団体がこれらの権利を実現するための取り組み(施策)を行う義務があることを明らかにしています。
そこで、憲法が国民に保障する基本的人権や子どもの権利条約に書かれた子どもの権利とは何かを知ることが重要となります。
なかでも子どもの権利条約は、子どもの権利(人権)を詳細に明らかにし、国がなすべき取り組みを具体的に明らかにしており、子どもの権利実現のためには子ども施策に携わる人々だけでなく子どもを含むすべての国民が子どもの権利条約の趣旨や内容をしっかりと理解する必要があります。
そこで、こども基本法は15条で「国は、この法律(こども基本法)及び児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解を得るよう努めるものとする。」と定めています。
こども大綱
こども基本法第9条は政府に対し、こども施策を総合的に推進するため、こども施策に関する大綱(以下「こども大綱」という。)を定めることを義務付けており、これに基づき、政府は2023年12月22日、こども大綱を定めました。今後はこの大綱に基づいて政府や都道府県、市町村の子ども施策が実施されます。
この大綱に書かれたこども施策は、いわば、政府のお墨付きのある施策といえます。私たちは、このこども大綱の内容を十分に理解し、上手に活用して、子どもの権利実現を着実に進めていく必要があります。
こども基本法第1条は、「日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり」子ども施策を実施すると書いています。そこで、こども基本法にもとづきどんなこども施策が実施されるかを理解するためには、憲法・子どもの権利条約を理解することが重要です。